Winter River
冬を耐える釣り人へ
撮影:志水哲也
撮影:志水哲也
下界の「街」に北風が時折舞い込み、秋のはじまりを感じる頃、山中には一足先に冬が訪れる。しんしんと降り続く雪は、あっという間に一面を銀世界へと変えてしまう。そんな極寒のなかでも流れを止めることのない川。しかし切り立った地形の谷を流れる水流は、豪雪により姿を消すことがある。生き物達と同じように、川の流れも冬眠期間に入り春を待つのだ。
そんな雪に覆われた川面のさらに下、流れのなかへと三次元的想像を膨らませてしまうのは、釣り人ならではのこと。「そこに住む渓流魚たちは、冬の間はどんな生活をしているのだろうか?」ただでさえ少ないエサは、雪に覆われた闇の中では見つけるのは困難なはずだ。人から見れば過酷極まる環境に、釣り人は勝手に魚たちを不憫に思ったりする。
だがもしかしたら、雪のトンネルが外敵からのシェルターとなり、冬の間に生まれた稚魚たちは流れのなかを自由気ままに遊び回っているかもしれない。成魚たちもイブニングライズさながらに、真っ暗ななかで雪渓虫を一日中むさぼり食っているのかもしれない。もちろん、これも勝手な想像。つまるところ「見えない川」というものは、禁漁期で欲求不満気味な、私たち釣り人の造像力を掻き立てて仕方ないのだ。
Snow bridge=雪橋は長い冬眠期間から川が目覚める際に作られる自然現象。気温の上昇と共に水温が上がり、暖かい水流によって雪渓下部がアーチ状に融解して形成される。外観からは雪の状態を把握することが難しく、登山者が上を横断中に踏み抜いたり、下をくぐったりしている途中に崩壊したり、さらには鉄砲水を起こす危険性も秘めている。
しかし釣り人にとっては春を告げる知らせの一つだ。雪橋の下の暗闇をのぞき込むと、まるで夜雨のように雪解けの雫がザーザーと降っている。その雫を集めて雪橋の下から出てくる流れは、「待っていました!」と言わんばかりに春の日の光を受けてキラキラと輝き出す。冬から春への移ろいがこれ程までに凝縮された現象が、他にあるだろうか?そして春の日の光を受けて増々暖まった流れの水が、川底で越冬していた魚達に、春の訪れを感じさせるのだろう。
今回のTrue to nature SPECIAL PRODUCTSは、そんな春の訪れを待つ釣り人に向けた特別なアイテムだ。Foxfireはフィッシングベストとともに38年前に産声を上げたが、ベストの裏地柄として伝統的に採用されてきたのがブランドオリジナルの「フィッシュアイカモフラージュ」だった。研究やフィールドテストを繰り返し、水の中の魚眼(フィッシュアイ)から見た場合にステルス性が発揮されるように工夫された特別なカモフラージュ柄。裏返しにしてカモフラージュ柄を表にして着れば、警戒心の強いトラウトに気づかれにくくなる。釣り人にとっての「最後の切り札」というわけだ。
このカモフラージュ柄とその使用法は、我々にとってリアルクロージングの象徴であり続けている。それゆえ使用シーン想定外となる冬期フィールドアイテムに、この柄が採用されることはなかった。それが今回の特別企画に限っては、Foxfireの中でも冬を代表する各ジャケットの裏地に、とある「想い」を込めて敢えて採用されたのだ。
冷え込んだ冬の朝、袖を通すときにチラリと顔出すカモフラージュは、川辺に立つ春の日を想起させるだろう。また着用時は、釣行中のベスト裏地と同様に、あなたを包み込む。ベストのように決して裏返して着る必要はないが、その裏地のカモフラージュ柄はあなただけの贅沢な時間を演出するだろう。
雪に閉ざされた川の流れや、そこに泳ぐ魚は、外からは見られることはない。同様に外からは見えない、Foxfireにとって特別な価値のあるカモフラージュ柄、そして川や魚へのあなたの想い。今回のTrue to nature SPECIAL PRODUCTSは、川や魚達とともに冬を耐え、春の訪れを待つあなたに向けて、特別な裏地仕様でお届けいたします。
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