佐藤大史『スコーロン』フィールドインプレッション

2019.04.15 Update

スコーロンは、アラスカ遠征の必須「装備」

 

2018年5月、約3ヶ月のスケジュールを組んでアラスカに遠征に向かった。50キロものザックを背負い、何も無い原野での撮影は忍耐の連続なので、毎年遠征後には「もう行きたくない…」とすら思ってしまうものだ。しかし、今年からミラーレスのカメラとレンズに切り替えたので機材は随分と軽くなったし、出国直前に“強力な味方”に出会ったおかげで、広大なアラスカのフィールドに出るのが楽しみだった。

 

 

アラスカ、と聞くと何をイメージするだろうか。一面真っ白の銀世界を想像する方もいるだろう。(実際には四季がある。緯度の関係で、冬はとても長く他の季節は短いが、新緑や紅葉を楽しむこともできる)オーロラが見られるところ、とか、グリズリーやシロクマがいる場所、というイメージもあるかもしれない。かくいう私も自身で足を踏み入れるまで、そんなようなイメージしかなかったのが正直なところだ。しかし、そのイメージには致命的に不足しているものがある。それは、ある時期あるエリアに行くと出会ってしまう、視界を覆いつくすほどに飛び交う虫たちの存在だ。

 

 

数年前の夏至の頃、白夜の様子を撮影をするため、初めてアラスカ北極圏に入った私は、想像以上の光景を目にした。いや惨状と呼んでも良いかもしれない。当時の日記の言葉を借りれば、「大気を埋め尽くすほどに虫たちが飛んでいる」のだ。フェアバンクスで買った防虫ネットをかぶったが、ネットの周りにもビッチリと付きまとうし、薄手のフリースくらいなら平気で刺してくるので、気がおかしくなりそうになったのを覚えている。

 

 

広大な原野の中、私にとっての安息の地はテントの中なのだが、出入りの際にかなりの数の虫が一緒に入ってしまうため、私のオアシスすら虫との戦場となってしまった。最初のうちは「一匹残らずつまみ出してやるぜ」 とばかりに戦う姿勢は見せたものの、毎度毎度のことなのでそのうち戦意喪失し、テントの中でもネットをかぶり厚いジャケットを着て過ごす羽目になった。

 

 

そうそう、トイレも大変。いかにお尻を出す時間を少なくするかを段取りし(周り数十キロ以上誰もいない原野の中で)、「いまだ!」とか「えいっ」なんて叫びながら素早くコトを済まさないとお尻じゅう噛まれてしまうからだ。その後、毎年新しい虫対策を講じてはみたが、決定的なものには出会えていなかった。

 

しかし、冒頭の文言を思い出してほしい。今年は新しい味方がいる。防虫素材で有名なスコーロンの“SCアルティメットフーディ”だ。他に“SCアルティメットパンツ”と“SCアルティメットグリッパー”、“SCアルティメットハット”も持っていった。軽い素材なので、初めて手に取った時は「これで大丈夫か?」と不安がよぎったが、アラスカでの効果はまさにてき面だった。

 

 

スコーロン素材は虫を寄せ付けなくさせる訳では無いので、生地の上に虫が止まることはある。しかし、「刺す場所が見つからないなあ」 とでもいうかのようにウロウロと生地の上を歩いた挙句、飛んで行ってしまうのだ。実際、3ヶ月の間で私は数万とも言える虫にたかられたし、生地に止まった虫も数百以上はいただろうが、1箇所も刺されなかった。数万にたかられて、1箇所もだ。しかし、腕をまくるなどして肌を露出させると、面白いくらいにそこだけ刺された。スコーロンのウェアを身につけている間は魔法のマントでも纏っているかのような心強さがあった。

 

 

軽い上に生地も強いので、少しくらいの藪こきも全く問題ないし(ツンドラにあるヤナギはかなり硬く、レインウェアなどが破けることも多い。その中を1日12時間以上歩く日もあるが、破けたり裂けたりすることはなかった。岩にしこたま強く擦った際は流石にうっすらと穴が開いてしまった)、また、優れた吸湿速乾性に助けられたことも伝えたい。雨風に晒されたり、汗だくになる日が続いても、川で軽く洗えばすぐに乾いてくれるのだ。最長で3週間近く洗わずに使用することもあったが、汗がベタベタして脱ぎたくなる、というようなこともなかった。

 

 

自分の撮影スタイルを完璧に支えてくれたスコーロンは、これからのアラスカ撮影のスタンダードだ。今後100パーセント必要になるのでフェアバンクスに置いてきた。

 

慣れや経験値でカバーできるようになる事も大切だが、適切な装備を身につける事の大切さを再認識させてくれたことに感謝したい。

 

 

 


写真家・佐藤 大史(さとう だいし)

長野県安曇野市在住。日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真家白川義員の助手を務め、2013年独立。「地球を感じてもらう」ことをコンセプトに、主にアラスカなどの手つかずの大自然を舞台に撮影している。2019年、BE-PALオンラインにて『写真家・佐藤大史のアラスカ紀行』連載中。

<WEBサイト> Daishi Sato

 

 

 

【お断り】このレポートは事実に基づいて掲載しておりますが、スコーロンの効果効能は使用環境・条件等により、必ずしも保証するものではございませんので、ご理解のうえご活用いただきますようお願い申し上げます。
※一部具体的な虫の名前を“虫”という表現に置き換えて掲載しています。