センドウタカシ『レインギア』フィールドインプレッション

2021.06.15 Update

 

 

雨の釣りを快適にする“ニンジャ流” レインギア セレクト術

 

6月に入りましたが雨の日も少なく、イマイチ梅雨っぽくないなぁ、という感じの今日この頃。でも、この時期の天気予報はすぐ裏切りますからね。釣りに出掛ける際は、レインギアなどの雨装備が必携です。

今回は、そんなレインギアに関して…。

 

唐突ではありますが、皆さん、雨は好きですか?

 

もちろん釣りをする場合の雨のことですが、正直自分は雨があまり好きではありません。雨の中の準備や片付けも億劫だし、長時間雨に叩きつけられてビショ濡れになるのも不快だし、やっぱり、カラっと晴れた中で釣りをするのが好きです。

 

とはいえ、釣りにおいて、雨が好釣果をもたらしてくれるというのはよく有ること。「雨は嫌だ~」とか言いながらも、どこか浮足立ってしまう自分が居るのも事実。

 

 

そんな雨嫌いの自分にとってマストな雨装備が、発売以来大好評の「GORE-TEXハイドロマスタービブ」。今や、時期や天気予報にかかわらず、釣行時は必ず用意して行くほどの自分的マストアイテムです。

今期は「GORE-TEXハイドロマスタージャケット」も発売になり、セットアップでの着用が可能になりました。

 

そんなハイドロマスターシリーズは、GORE-TEX採用のフラッグシップモデル。極限状態での着用を想定してデザインされただけあり、ビブ、ジャケット共に、防水性は最強!「お値段が高価なのが…」、という声も聞きますが、正直、その圧倒的な性能と耐用年数を考えれば、決して高い買い物だとは思いません。

 

少なくともビブだけでもハイドロマスターを導入すれば、荒天時の釣りが楽しいものに変わること請け合い。これは、お値段以上の価値が有るとすら思います。雨嫌いの自分が言うので、多分間違いありません。

 

 

とはいえ、決して安い物ではありませんので、購入する踏ん切りがつかなかったり、実際の使用感や評判など気になる方も多いんじゃないかと思います。其実、自分も、購入を検討している方々から製品についてのアドバイスを求められることが多くあります。

 

その中でも特に多いのが、意外にも、サイズ選択についての質問。性能面や機能面に関してはネット上でも情報を集めやすいんですが、ことサイズ選択に関しては、試着した上でも、ジャストサイズにするか…?少し大きめにするか…?と、悩んでしまう方が多いようです。

 

これに関して、皆さん色々なとらえ方が有るのでゴリ押しはしませんが、自分は以下のようにサイズ選択をしています。

 

自分は、身長170㎝、40代半ばとしては標準的な体型です(と言わせて下さい…笑)。ハイドロマスターに関しては、上下とも、Mサイズでジャストフィット、Lサイズでちょっとゆとりが有るかな?という感じなんですが、実は、あえてXLサイズをチョイスして、ダボっと着こなすようにしています。

 

 

そもそも、自分の場合、ハイドロマスターはボート釣行専用という位置づけ。というのも、オカッパリだと、ヤブ漕ぎやコンクリート護岸に膝をついたりして生地が痛むことも想定されるので、高価なハイドロマスターを着用するのは躊躇してしまうから…(笑)。

 

というのは半分冗談、半分本気の話なんですが、荒天時にバスボートで激走するような場面でこそ、ハイドロマスターの真価が発揮されるのは間違いありません。

 

しかし、ひと口にボート釣行と言っても、大型ボートとローボートやジョンボートなどの小型ボートでは、勝手がちょっと違ってきます。

デッキも広く体の自由度も高いバスボートや海の乗合船なんかではあまり気にならないのですが、体の動きが制限される小型ボートの場合、後ろを向こうと体をひねった時などに意図せず衣服が突っ張ったりすると、非常にストレスを感じてしまうことがあります。

 

自分の場合、体重の増減が激しいので、ちょっと増量しているタイミングなんかだと、そのストレスはより倍増してしまうんですが、この気持ち、中年太りに悩んでる皆さんならわかって頂けるのではないでしょうか…(笑)。

 

また、ハイドロマスターはアウターシェルとして非常に高いパフォーマンスを備えているので、ハイシーズンだけでなく、厳寒期もダウンや中綿入りのインサレーションと組み合わせて着回したい。

そのような理由も有り、あえて大き目サイズをチョイスしているんですが、実際のところ、ボート上では歩き回ったりすることもほとんどないため、多少ウェアがダブついても着心地の悪さやパフォーマンスの低下は感じませんし、大き目のサイズを着用することで、レインウェア内の空気量が増え、蒸れにくく、通気も良くなるというメリットも有ります。

 

 

…と、大き目サイズのメリットをアツく説きつつも、実のところ、着心地や動きやすさを考えると、基本的にはジャスト~気持ち大き目くらいのサイズをチョイスするというのがベターな選択というのは間違いありません。

実際、ハイドロマスターシリーズに関して、SNSなどで着用サイズを紹介されている方も多くいらっしゃいますが、多くの方がジャストなサイズ感の物を選ばれていますし、自分も、運動量の多いオカッパリの際などは、XLサイズではなく、Lサイズをチョイスします。

 

ちなみに、そのような場面で自分が現在メインで着用しているのが、「ストームトレーサービブ」&「ストームトレーサージャケット」。ハイドロマスターと違ってGORE-TEXではありませんが、高性能透湿防水素材・エアロポーラスFW採用で、軽くて柔らかな着心地が持ち味です。

 

ジャケットは、メッシュの裏地のお陰でサラッとした着心地。ゆとりのあるシルエットなので、重ね着をした時の不快感も無し。

別売りのミドルレイヤーをファスナーで連結できるユニットシステム採用なので、冬の着用にもバッチリです。

 

ビブは、ハイドロマスターのデザインを継承し、高レベルな防水性能を実現。サイドポケットや、膝、ヒップの補強は無いものの、その分軽量で、この手のビブとしてはダントツの軽快感です。

 

 

ビブ、ジャケット共に、ハイドロマスターシリーズに比べて半額ほどの定価設定なので、ラフな使用でも気兼ねなく着用できるのもありがたい所(と言っても、やっぱりちょっと気兼ねしちゃいますが…笑)。オカッパリはもちろん、小型レンタルボートの釣りなどでも、むしろハイドロマスターよりも使い易いかも?とすら思うほど。

 

実際、高温多湿な夏などは、ハイドロマスターよりも軽量&薄地なこちらが生きる場面も多いと思います。

 

という感じで、今一度ザックリまとめてみますと…

 

ハイドロマスターシリーズ

・高価だが最強の防水性能と快適性を備える。

・タフな作りで大事に使えば長持ちするので、長期的に見ればお買い得。

・個人的には、ボート釣行時のアウターシェルとして、夏以外の3シーズンに活用。

※高速走行するバスボート釣行時や豪雨時は夏も着用。あまり動き回らない冬のオカッパリでも着用します。

 

ストームトレーサーシリーズ

・ハイドロマスターの半額で買え、性能面も必要十分。

・ハイドロマスターよりも軽いので、運動量の多い場面や衣類の軽快性を求める場面で生きる。

・個人的には、オカッパリやレンタルボート釣行時などをメインに、厳寒期を除くオールシーズンで活用。

※厳寒時のオカッパリでは、ディメンションDSジャケット&パンツなどの中綿入りタイプを使用する場合も有ります。

 

ちなみに、セットアップにこだわらないのであれば、「ストームトレーサージャケット」「ハイドロマスタービブ」という選択もオススメ。

 

厚着をしてもゴワつかない少し大き目のサイズの物を選び、インナーやミドルレイヤーを上手く組み合わせれば、極寒地や灼熱地獄でない限り、この1セットで4シーズンこなせると思います。

 

以上、レインギアについて自分の考えを書いてみましたが、防水性はもちろんのことながら、タフさ、軽さ、機能性、コストパフォーマンスと、レインギアに求めるものは人それぞれ。

サイズに関しても、ジャストサイズを選ぶか、大きめを選ぶか、ご自身が使われる場面を想定して、ベストなセレクトをして頂ければと思います。

 

ということで、この記事が、皆様のレインギア購入時の参考になれば幸いです。

長文、失礼いたしました…。

 

 

 

 

プロアングラー

センドウ タカシ | Takashi Sendo

 

1974年生まれ。旅と釣りを愛する旅情派釣り師。バスフィッシングを中心に、ソルト、渓流、ナマズなど、幅広いジャンルの釣りをこなす。バサーやルアーマガジンといった雑誌で連載を持ち、釣りビジョンなどのTVメディアでも活躍中。取材やトーナメント活動の傍ら、フィッシングガイド業も行っている。愛称は「釣りニンジャ」。
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