清水哲朗『マッシングジャケット』フィールドインプレッション

2019.11.30 Update

「ピタッと風を切り、暖かさに包まれる」

GORE-TEXとアライドダウンの極上コンビネーション

 

『サーモコア』『ユニットシステム』による防寒レイヤリングシステムが活躍した昨年とは時期を1ヶ月ずらし、2019年11月上旬から中旬にかけて2週間のモンゴル・ゴビ砂漠取材を敢行した。

 

 

撮影目的は変わらず、野生動物や風景などだったが、厳冬期に入る(日によっては−30℃以下になる)だけに装備を昨年よりもより暖かくしなければならなかった。そこで「マッシングジャケット」「WSゲイルパンツ」「マシーンウォッシュニットワッチ」を新たに追加。今回も出発直前に手に入れたため、事前テストなしで本番取材に挑んだ。

 

ウランバートル、チンギスハーン国際空港へと降り立つと気温は−5℃前後。その日の東京と比べると30℃の差があったが、思ったほど寒くはなかった。天気予報を見ても昼間は穏やかで、朝晩が氷点下に冷え込むようだ。迎えに来た友人に聞くと今年は暖冬とのこと。だが、シベリア寒気団の影響をまともに受けるモンゴル。これから600km離れた南へ移動するとはいえ、このまま2週間、そんな気温であるはずはない。

 

ゴビへ向かう車内は昨年同様、薄手の「サーモコアミッドモック」のみ。車外へ出る時だけ「サーモコアマイクロフルZIP」を着用。下半身も「サーモコアミッドスパッツ」「サーモコアパンツ」「サーモコアショートソックス」の組み合わせで十分だった。

 

夕方に本日の撮影地であり、キャンプ地であるツァガーン・ソウラガへ到着した。ここは小規模なグランドキャニオンのような場所だが、訪れるたびに強風が吹き荒れ、防寒具を羽織るのがいつものパターン。しかし、この日は無風で美しい残照を見せてくれた。撮影後に夕食をとると、その日は満天の星を少し眺めただけでテントに潜り込んだ。

 

翌朝の日の出前の気温は0℃。昨年は−7℃だっただけにやはり暖冬のようだ。しかし、強風が吹き荒れ、体感温度は低かった。サーモコアミッドモック&サーモコアマイクロフルZIPの上に「マッシングジャケット」を着るとピタッと風を切り、暖かさに包まれた。「さすがはアライドの650フィルパワーダウン」と思わず口から出た。

 

 

ツァガーン・ソウラガでの撮影を終えると、南へ150km、西へ100km移動し、昨年も訪れた標高2500m前後の山脈で動物を2日間捜索。ここでは道のない岩山をひたすら登ったり下りたりしたが、撮影は野生のアイベックスを数頭とヒゲワシ3羽、イワシャコの群れを見るだけの空振りに終わった。さすがに動物を探すには滞在期間が短すぎた。

 

その代わり、サーモコアミッドモック&サーモコアマイクロフルZIP、マッシングジャケットの通気性の良さを大いに実感。暖かさは守りつつ、適度に汗を逃してくれるのだ。たとえ汗をかいても不快感はなく、さらっとした着心地のまま。速乾性もあるので体が冷えることもなかった。

 

 

着心地の良さは次の撮影地ホンゴル砂丘でも同様だった。頂上間近の斜面は3歩進んで2歩半落ちるぐらい砂が脆く、もっともストレスがたまるポイント。さすがに大汗をかいたが、頂上到着後も体は冷えず、撮影に集中できた。頂上ではさらに強風が吹き荒れ砂嵐状態だったが、GORE-TEXの防水シーム処理のおかげで吹き付ける砂を弾いてくれ快適だった。

 

下山後にインナーへの砂の侵入をチェックしたが、皆無だった。ナキウサギが多数生息するヨリーン・アム渓谷で氷と小川の流れを撮影した時に水弾きチェックをしたが、これも見事にクリア。「マッシングジャケット」は価格以上の価値観があると感じた。

 

 

ゴビ砂漠での撮影を終えウランバートルに戻ると1週間ぶりのシャワーを浴び、ずっと着ていたサーモコアミッドモックを洗濯。毎回そうだが、どうせ風呂に入れないのだから着替える必要もないとスペアを持ってこないのだ。

 

今回は滞在期間も短く、取材はこれで終わりと思っていたのだが、地図を眺めているうちにもう少し撮影がしたくなった。思い立ったが吉日。翌日、西に600kmのホルゴ火山まで一気に移動した。夜中にそこで星空を絡めて撮影しようと思っていたのだが、世の中そんなに甘くはない。悪天候で夜中の撮影は断念せざるを得なかった。おとなしく車中で寝袋に包まれた。

 

翌朝目が覚めると息を呑むような光景が広がっていた。夜中に雪が降ったらしい。ただ気温は−6℃と平年よりも暖か。根雪にはならず、陽が昇ればすぐに消えてしまうだろう。コーヒーを飲んで体を温めるとすぐに山頂を目指して登山開始。最強の寒波が迫っているせいか、体が持っていかれそうなほどの強風が吹き荒れ、体感温度も低かった。

 

 

しかし、ゴビ砂漠取材と同じ、サーモコアミッドモック&サーモコアマイクロフルZIP、マッシングジャケットの組み合わせは十分暖かく、山頂での撮影も寒さで震えることはなかった。下半身は「サーモコアミッドスパッツ」と「WSゲイルパンツ」。ストレッチ性と防風防寒、暖かさを備えた組み合わせは履き心地十分だった。

 

思いつきのエクストラ取材だったが、ここまで来た甲斐あって、最高の作品を撮って今回の取材を終えることができた。陸路での移動距離4500km。モンゴルはやはり広大だ。

 

 

 

 

写真家

清水 哲朗 | Tetsuro Shimizu

 

1975年横浜市生まれ。23歳でフリーランスに。独自の視点で自然風景からスナップ、ドキュメントまで幅広く撮影。個展多数開催。出版物は写真集『CHANGE』『New Type』、写真絵本偕成社世界のともだちシリーズ『モンゴル』、フォトエッセー『うまたび-モンゴルを20年間取材した写真家の記録-』など。主な受賞暦は第1回名取洋之助写真賞、2014日本写真協会賞新人賞、2016さがみはら写真新人奨励賞。公益社団法人日本写真家協会会員
<WEBサイト> Tetsuro Shimizu Official web site