斎藤裕史『フォトレックジャケットM VI』フィールドインプレッション

2019.12.17 Update

フォトレックジャケットを愛用しはじめて4年が経ちます。2001年に初代が発売になった、Foxfireを代表するウェア。私が初めて着用したのは5代目のもの。そしてこのたび、今シーズン登場したの6代目の「フォトレックジャケットM VI」を着始めました。

 

 

5代目、6代目と長く着ていて思うのは、「これほど写真家のために考え抜かれたアウターは他にない」ということです。理由はたくさんあります。順にご紹介したいと思います。

 

 

雨を遮り、蒸れを排出するゴアテックス ファブリクス

 

まずは素材。レインウェア、夏の帽子、靴に至るまでゴアテックス製品を愛用しています。ご存知の通り、ゴアテックス ファブリクスは外からの雨などをブロックしつつ、内側からの蒸れは外に排出するスグレモノ。少々高価ではあるものの行きつくところはゴアテックス製品です。フォトレックジャケットの素材ももちろんゴアテックス ファブリクス採用。快適です。

 

 

多彩な気候に対応する「ユニットシステム」

 

 

「ユニットシステム」によって、多彩な気候に対応することができること。別売のフリースやダウンをライニングファスナーで連結し一枚のジャケットとすることができるユニットシステムが単なる重ね着と違うのは、フィット感が抜群であること。動きやすく、ストレスがありません。

 

 

3シーズン快適に着られる、ロケには欠かせない一着

 

 

フォトレックジャケットは冬のウェアという印象がありますが、私の場合、春も秋も着用しています。それは快適なユニットシステムのおかげです。3シーズンの間にフォトレックジャケットをどのように活用しているか、ご紹介します。

 

9月、紅葉が本格的に始まるより早くからフォトレックジャケットを持ち出します。この頃はまだ「とりあえず車に積んでおく」といった感じですが、信州方面での撮影で、少し冷える朝夕などに活躍します。「持って来ておいてよかった」と思うことが多々。そして10月に入り、紅葉の便りを耳にする頃から必携のウェアとなります。

 

厳寒期に入ると「ユニットシステム」が威力を発揮しはじめます。フリースとダウンの2枚を愛用しており、ロケーションに合わせて「単体」「+フリース」「+ダウン」「+フリース+ダウン」とさまざまな組み合わせで着用します。さらに中間着のカットソーなどの厚さ、下着の厚さを変えながら厳しい季節の撮影を乗り越えます。

 

感動的なシーンとの出会いは例外なく極寒時や悪天候など、身体的に辛い時なのです。その瞬間まで待てるかどうか。ウェアの重要性を痛感しています。

 

ユニットシステムは季節だけではなく、その時の行動に合わせた温度調整が可能なのも大きなメリットです。写真撮影は「歩く→撮影→歩く→撮影・・・」と、動いたり長時間じっとしたり、を繰り返します。移動中に暑くなればライナーを脱ぐ。被写体を見つけ、撮影中に寒くなればライナーを着る。また移動して暑くなればライナーを脱ぐ、を繰り返して体温調整をします。

 

季節が進み、フォトレックジャケット単体で撮影するのは桜が散るころ。気付けば半年以上に渡って愛用していることになります。

 

 

カメラバッグのように使える多様なポケット

 

 

多種多様なポケットもこのジャケットの魅力。大口径レンズが収納できる大型ポケットが左右2カ所にあります。これが有り難い。使用頻度が最も高い70-200mmF2.8、および180mmマクロレンズがすっぽりと収まってしまうアウターはなかなかありません。

 

実際にこれらのレンズをポケットに入れて歩くのではなく、撮影中に「仮に収めておく」という使い方をします。カメラバッグから出し入れすれば済むことかもしれませんが、これが意外を億劫に感じませんか? さっとポケットからレンズを出して交換できると実にストレスがないのです。

 

被写体やシーンによって24-105mmと70-200mm、16-35mmと24-105mm、100mmマクロと180mmマクロの組み合わせで頻繁にレンズ交換することが少なくありません。そんな時に一方のレンズをポケットに収めておけば撮影がスムーズなのです。

 

また両胸、両腰にもポケットがあり、テレコンバーターやブロアー、フィルター類など収納が可能。内側にもポケットがあり、ここはバッテリーを寒さから守るのに重宝します。

 

ポケットが多すぎるため、どこに何を入れたかわからなくなってしまうことも確かにあります。自分の撮影スタイルに応じて収納場所を決めてしまえば機能的です。ちょっとしたカメラバッグを身に着けているような感覚です。

 

 

◆内側ポケット

 

予備バッテリーは消耗を防ぐため内側のポケットに。

 

 

◆胸ポケット

 

右胸ポケットは携帯電話とスマートフォン

左胸ポケットは現時点で使用しているカメラ・レンズのキャップ類

 

 

◆腰ポケット

 

右腰ポケットにはメディアケースとブロワ

左腰ポケットにはフィルターケース

寒冷地では両方のハンドウォーマーポケットにカイロ

 

 

フードやパウダーガード。細部まで機能的

 

フードも機能的です。後頭部にフードの前後の角度が調整できるベルクロを装備。前部を引っ張ることができファインダーをのぞく際は実に便利。レインガーター(雨どい)で雨水が直接カメラに落ちないように左右に逃がしてくれる、なんていう小さな気遣いもうれしい。リュックタイプのカメラバッグを背負う時はフードが意外と邪魔になりますが、雨が降らないときやタウンユースの際はフードを取り外して着用しています。

 

ジャケットの裾から雪や冷気の巻き込みを防ぐパウダーガードもご紹介しておきます。内側にはゴムが付いているためウエストにフィット。ジャケットの裾にはドローコードも装備。パウダーガードとドローコードを絞ることで冷気を完璧に遮断してくれます。パウダーガードの滑り止めのゴムは洗濯を繰り返すと劣化するそうですが、洗濯の際は取り外せるようになっています。メンテナンスがしやすいつくりは大変有り難いです。長く着たいアイテムですからね。

 

 

 

5代目と6代目の違いは「動きやすさ」

 

最後に、昨シーズンまで着ていた5代目と、6代目の着心地の違いについて、私個人の印象をご紹介したいと思います。

 

6代目は5代目に比べ、スリムになりました。これは中綿がなくなったため。重量も200グラム軽くなったそうです。はじめて着たときの感想は「随分コンパクトになったなぁ」というもの。5代目のどっしりした大きさは厳寒期の屋外でも大丈夫、という安心感に繋がっていました。新しい6代目はとても軽やかで動きやすい。スリムになっただけではなく、きっと形にも工夫が凝らされているのでしょう。街の中でも違和感なく馴染みます。

 

中綿がなくなったことで気になったのは「厳寒期でも大丈夫?」ということですが、「ユニットシステム」のラインナップに仲間入りした保温性抜群で軽量のダウン「パウダーライトダウンジャケット」を組み合わせることで不安は解消します。そして、単体で着用できる期間がさらに広がりました。秋は今までより早く、春は今までより長く着ることができそうです。

 

 

 

作品

 

秋・ナメゴ谷

針葉樹林の山にの尾根に沿って落葉時の森が残る奈良県上北山村ナメゴ谷。満月の夜、月光に照らされた光景を撮影。そして夜が明け尾根の一番上に光が射したのは午前7時すぎ。その光が尾根の下に至ったのは午前9時30分すぎ。一日で「フォトレックジャケット+ダウン+フリース」のフル装備から最後はジャケット「単体」まで活躍。

 

 

冬・明神平

奈良県と三重県境に位置する明神平。アイゼンとスノーシューを履き替えながら1時間半ほど登ると被写体が次々と現れる。移動→撮影→移動→撮影を繰り返す際ため服での体温調整が重要。

 

 

春・信州

2019年4月信州中川村。桜が満開を迎えたというのに突然の雪。雪がちらつくくらいか、という予想をはるかに上回る大雪でした。こんなこともあるので桜の撮影と言えども車に積んで行く装備は真冬と同じ。

 

 

 

 

写真家

斎藤 裕史 | Hiroshi Saito

 

1968年千葉県生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、関西を拠点に雑誌、広告などの撮影を行っている。現在は写真教室や撮影ツアーなどの講師のほか写真雑誌などの執筆も。写真集に「WHITE MESSENGER ~SWAN~」「Hana-HaNa-Hana~花からいただく1/fゆらぎ~」著書に「わっ、撮れた!~夜景・イルミネーション編~」「わっ、撮れた!~春・夏編~」「わっ、撮れた!~秋・冬編~」「明日、撮りたくなる写真」(すべて日本写真企画刊)
<WEBサイト> blog「ふっても晴れても写真日和」