FIELD IMPRESSION #001

宇宙を感じる時間

北山 輝泰

星景写真家

北山 輝泰

東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。天文台インストラクター、天体望遠鏡メーカー勤務を経て、2017年に写真家として独立。世界各地で月食や日食、オーロラなど様々な天文現象を撮影しながら、天文雑誌「星ナビ」ライターとしても活動。全国各地で星空写真の撮り方セミナーを主催する。

フォトレックダウンジャケット_北山輝泰

INTERVIEW

星景写真

INTERVIEW THEME.01

星空を撮るということ

暗くなる前にある程度夜のイメージのもとに構図を決めます。撮影する季節が秋だったら南西の方角に天の川があるので、まずはそれを何と一緒に撮ろうかなって考える。
次に東の空から秋の星座が昇ってくるので、天の川を撮り終わった後の動きも考えながらロケハンをする。この日この場所でどんな星空が見えるか、それを踏まえた上で撮るので、どこに行ってもやることは変わらないですね。

星空を見る時に私の場合は、星空が点の集まりではなく面で見える、つまりは星座の絵が空に見えるんです。そして隣り合っている星座はギリシャ神話上で一緒に登場したりと何かしら関係性があるんです。
だから構図を決める時には星座が切れていないか、位置関係が支離滅裂にならないように注意しています。もともと天文台のインストラクターとして星を教えるのが私の仕事だったので、星の位置関係は大事にしています。

撮影ツアーでは参加者に星の知識やギリシャ神話のお話をして、それと関連した星座を撮ってみたり、星景写真の楽しみ方の提案をしています。ただ風景と星を綺麗に撮ろうというものではないんです。
星景写真のツアーやワークショップを始めて10年経ちますが、昔から参加してくれている方や初心者の方まで、どのレベルの人にも先回りして教えてあげられる講師でありたいので、常に最新の天文情報とかは勉強しています。

星景写真

INTERVIEW THEME.02

来るべき瞬間のために

星景写真を撮る際に欠かせないのが「ステラナビゲータ」というソフト。今夜は何時頃にこういう星空が見られるかがわかるだけでなく、過去現在未来の星空がわかる天文シミュレーションソフトウェアです。
どこで、どの季節のどんな星空を撮るか、その組み合わせには無限の可能性があって、普段からこのソフトを使ってあらゆる星空を妄想していると、ある日すごい瞬間に巡り合うことがある。

例えば、2024年4月8日にアメリカ大陸を中心に皆既日食が起こりますが、日食中の暗くなった空に天王星、木星、水星、金星、海王星、土星、火星が並ぶというとても貴重な現象が起こります。
日食中は明るい星が見えるくらいの暗さになるため、これらの惑星のうちいくつかは肉眼でも見られるのではないかと期待されています。私はこの現象を知った5年前から、今か今かとこの日を楽しみにしています。

ステラナビゲータ

数年先までの天文現象や自分が撮りたい瞬間というものをリサーチして、その瞬間を迎え撃つ。それが私の星景写真のすべてです。
その日の夜は晴れそうだから星を撮ろうと出かけることも稀にありますが、ほとんどが既に行動パターンは決まっていて、自分はその場に行って撮るだけなんです。

星景写真

INTERVIEW THEME.03

根幹にある思い

日芸写真学科の恩師が福島の鮫川村というところに仲間と天文台を作った人で、先生との出会いがなければきっと今の自分はなかったと思います。

撮影のテクニックもそうですが、今思えば星の下でただ過ごす時間というものをたっぷり味わわせてもらいましたね。新宿で生まれ育った私にとって、そもそも星空を見る経験がなかったので貴重な体験をたくさんさせてもらえたし、思い出深いものがあります。

先生は星と鉄道と航空機が好きな方でした。先生から言われたんです。『自分がやってきた星空を引き継いでほしい。写真家でも解説員でも、星に携わる仕事に北山さんが就いてくれたらいいな』って。今でもその時のことを鮮明に覚えています。有明のガンセンターで、点滴を打ちながらそう話す先生の姿を。それが遺言でした。

私と同じように先生の遺志を継いで、鉄道と航空機をそれぞれ引き継いだ人がいるんですが、私たちの活動の根幹には、先生のために一生を懸けて恩返ししようという思いがある。それで私は福島に移住して、日中働いては夜に天文台に通う生活を始め、そこからキャリアをスタートさせました。

種子島ロケット撮影

今では星景に加えて、毎年種子島に通ってロケットの撮影の仕事もしています。転機となったのはフロリダのケネディ宇宙センターで撮ったロケットの打ち上げの撮影でした。
ソニーの人工衛星「EYE」を載せたファルコン9ロケットの打ち上げを、ヘリコプターで16キロも離れたところから1200ミリの望遠レンズで空撮したんです。その1枚のロケットの写真のおかげで、趣味が仕事になりました。

ロケットの打ち上げを直に見るとその音と振動を全身で感じることができます。今まさに宇宙へと旅立とうとしている力強さをひしひしと感じながら、無我夢中でシャッターを切り続ける。これは、静寂の中で撮影する星景写真とは相反するように見えますが、両者には共通していることがあります。

それは『空を見上げ、宇宙に思いを馳せる』ということです。宇宙は科学的で難しそうと思う方もいるかもしれませんが、私にとって宇宙は、ワクワクする気持ちをずっと与えてくれる唯一無二の存在です。

種子島ロケット撮影

WSフォトレックダウンジャケットの使用感

Impression

フォトレックダウンジャケット

メインで使う広角から標準レンズ、カメラボディを優先するとどうしてもカメラバッグから溢れてしまうのが赤道儀や望遠レンズ。大きく深いジャケットのポケットはこれらの機材も楽に入れることができます。機材を身につけて運搬できることは、作品制作においてとても重要な要素になります。

毎年のようにオーロラの撮影でアラスカやカナダのイエローナイフに通っては、凍える寒さの中で長時間撮影しています。このジャケットは袖がすぼんでいるので冷たい冷気の侵入を防いでくれるし、見た目もいわゆる“ザ・カメラジャケット”という感じではないため、タウンユースで着られるのは嬉しいですね。

PRODUCTS

フォトレックダウンジャケット着用
フォトレックダウンジャケット カーキ

WS Photrek Down Jacket

Khaki

フォトレックダウンジャケット ブラック

WS Photrek Down Jacket

Black

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「5 Nature Photographers」

「目を奪われるような美しい風景」や「極地が生む厳しい自然環境」、「動植物の織り成す生命の躍動感」などをカメラに収める写真家たち。彼らが魅了された世界や、撮影のバックストーリーなどを「WSフォトレックダウンジャケット」の使用感と共にお伝えする全5回の特集。

宇宙を感じる時間
野鳥を見つめるまなざし
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