FIELD IMPRESSION #002

野鳥を見つめる
まなざし

菅原 貴徳

野鳥フォトグラファー

菅原 貴徳

90年東京都生まれ。幼い頃から生き物に興味を持ち、11歳で野鳥撮影を始める。東京海洋大学、留学先のノルウェーにて海の環境と生き物のつながりを学ぶ。名古屋大学大学院で海鳥の研究をしたのち、フリーの写真家に。専門誌や図鑑を中心に作品・エッセイを寄稿するほか、講演会も多数。主な著書に『図解でわかる野鳥撮影入門』(玄光社)がある。

フォトレックダウンジャケット_菅原 貴徳

INTERVIEW

菅原 貴徳

日本国内におよそ600種を超える野鳥がいるとされる。最も身近な野生動物である鳥に魅了され、その研究とともに鳥との接し方を発信してきた写真家の菅原貴徳さん。野鳥を撮るための心構えを学ぶべく、菅原さんとともに都内近郊の公園を訪ねた。

ジョウビタキ
 

INTERVIEW THEME.01

鳥の合図をキャッチする

この鳴き声はジョウビタキですね。ジョウビタキは僕にとっては印象深い鳥のひとつで、子供の頃に見かけて、こんな鳥が身近にいることを知って嬉しくなったのを覚えています。鳥を探す時はまず鳴き声を聞き分けて、距離が離れているうちに撮影できるかどうか判断し始めます。鳴き声だけで、どの鳥がどのくらいの距離のところにいて何をしているかまでだいたい見当がつくこともあります。初めて行く国ではなかなかそうもいきませんが。

菅原 貴徳

いきなりカメラを持って不用意に近づけば、その接近が鳥たちの行動に知らず知らずのうちに影響を与えてしまい、警戒している仕草や表情しか見せてくれなくなります。だから離れたところから鳥の姿を確認できたら、今度は望遠鏡や双眼鏡を使って観察し、鳥の動きを予測します。レンズを覗くとその焦点距離によって見る範囲が変わります。それこそ“自然を見る解像度”が変わってくるんです。あそこの枝先の揺れ方は風じゃなくて鳥による揺れ方だなっていうのがわかってきたりする。そうやって鳥を観察する視点で日常の景色を見つめ直してみると、様々な発見があると思います。それを一人でも多くの人に知ってもらいたくて、僕の写真活動はあると思っています。

   
野鳥

INTERVIEW THEME.02

撮るほどに募っていくもの

「もうこの鳥は撮らなくていいやって思うことはないんですか?」って訊かれたりすることもありますが、ないですね。それは僕の興味が写真を撮ることよりも鳥にあるからでしょう。鳥を見つけて観察すればするほどにわからないことが増えていくし、撮り逃しちゃったな、今度はちゃんと見たいなっていう気持ちが募っていくんです。この時期は何を食べて暮らしているのかな、今度はこういう状況で見てみたいなって、そういうことを考え出すと切りがないんですよ。

よく「スズメやカラスくらいしか鳥ってわからないです」って言う人がいますが、スズメやカラスにもいろいろな種類がいます。彼らがどこで寝ていて、なんで群れるのだろうとか、身近に思える鳥でさえ実は知らないことの方が多い。僕は毎年秋によく北海道に行くのですが、大洗〜苫小牧間のフェリーに乗っていると、海の真ん中を小鳥が飛んでいる姿を目にすることがあるんです。ツバメだったりヒバリだったり、肉眼で見ればほんと小さな点なんですが心を動かされます。

普段とは異なる出会い方をすることで、同じツバメでも違うイメージで見えてくる。ヒヨドリが海を渡っているところも見たこともあります。一年中日本で見られる鳥でも、必ずしも同じ個体がずっと日本にいるわけではないんだなって思えたし、そうやってわからないことに気づけるからおもしろい。

野鳥
 
野鳥

INTERVIEW THEME.03

写真を通じて伝えたいこと

カメラ機材の進歩など要因は様々ですが、以前に比べて鳥を撮る人が増えています。鳥に興味を持つ人が増えることは嬉しいのですが、知らず知らずのうちに、鳥の生活を脅かしてしまうケースも少なからずあります。それが僕にはずっと気掛かりでした。その注意喚起や啓蒙を中学生の頃からブログなどで発信してきましたが、人に伝えることの難しさをずっと感じてきました。そこで自分の思いを伝えていくための手段として選んだのが写真でした。僕の写真に興味を持ってくれる人が増えれば、僕の話を聞いてくれる人も増えていくと思ったんです。

菅原 貴徳

野鳥撮影の講座を頻繁に開いているのも、初心者の人たちにまず最初に大事にすべきことが何かを教えたいからです。自分の著書でも啓蒙的な部分を大事にしています。鳥を追いかけ回して、彼らにストレスを与えてまで写真を撮る意味があるのか、そうまでして撮った写真に果たして意味があるのだろうかというのは、多くの人に共有したいことですね。無理に鳥の生活圏に入っていかなくても、鳥の生態を知る努力をして、正しいところで待っていればちゃんと良い写真は撮れる、そのことを教えたくて僕の場合は写真に向き合っています。その思いが僕の写真の根本にある。

種子島ロケット撮影

野鳥写真家として人前に出て講座などをしていると、心無いことを言われることだってあります。そんなに野鳥を守りたいなら自分も撮らなければいいと。そういう矛盾を孕んでいますから。でも、誰かが啓蒙をしていかなければこの問題は変わらないので、使命感をもって自分が続けていかなければと思っています。

   

WSフォトレックダウンジャケットの使用感

Impression

菅原 貴徳

まず気に入っているポイントは裾の長さです。鳥を観察する時はしゃがんで待つシーンが多々あります。背景を整理するためだったり、あるいは枝葉を避けるためだったりもありますが、一番は鳥から自分がどう見えているかを意識して、自分の姿を少しでも小さくして警戒させないためです。完璧にとはいきませんが、少しでも鳥たちの生活を邪魔せず撮影を行いたいと思っているので、そういった配慮が大事です。

それに、冬の景色に馴染みそうな色合いもお気に入りです。冬、葦原や草原などは鳥が多く見られる定番スポット。そのようなフィールドで活躍する様が目に浮かびます。

PRODUCTS

フォトレックダウンジャケット着用
フォトレックダウンジャケット カーキ

WS Photrek Down Jacket

Khaki

フォトレックダウンジャケット ブラック

WS Photrek Down Jacket

Black

ONLINE STORE

「5 Nature Photographers」

「目を奪われるような美しい風景」や「極地が生む厳しい自然環境」、「動植物の織り成す生命の躍動感」などをカメラに収める写真家たち。彼らが魅了された世界や、撮影のバックストーリーなどを「WSフォトレックダウンジャケット」の使用感と共にお伝えする全5回の特集。

宇宙を感じる時間
野鳥を見つめるまなざし
coming-soon
coming-soon
coming-soon